交通事故のむち打ちと、併発する頭痛を解説
めまい・ふらつき・耳鳴り・頭痛・悪心・吐き気や、首や肩・背中の痛みに苛まれたり苛立ちを隠せなくなって怒りっぽくなることもあるようです。
これらは全て、交通事故によって引き起こされたむち打ちによるものである可能性があります!
このコラムではむち打ちの解説と、併発することが多いとされる頭痛について触れていきます。
あなたが陥ってしまった状態を知ることが、回復のために必要な情報になると考えています。
むち打ちについて
一般的に呼ばれる名称は「むち打ち」ですが、文献によりますと
「外傷性頸部しょう候群」と記載されます。
文献上の記載も重要なのですが、
ここでは臨床家の視点から
交通事故によってむち打ちが、どのように引き起きているのか?
そしてその実際の状態は
どのようなものなのかを解説していきたいと思います。
むち打ちの発生
交通事故のむち打ちで最も多いのは、
車に乗っている時に後方から追突されて起きた場合です。
しかしその状況以外でもむち打ちの発生は実際に多く報告されています。
人は身体に衝撃を感じた時、緊張することで身を守ろうとします。
しかし瞬間的な衝撃が、身を固めた緊張に勝るものであった場合、
固めた姿勢が崩されて「頭が揺さぶられた」状態に陥ります。
頭の重さで頸椎がしなって鞭を打ったような状態が起こり、
むち打ちが発生するのです。
その発生のメカニズムを図を交えてお伝えしていきます。
正常な状態
頚椎はなだらかな反りカーブを描いています。
追突を受けた瞬間
頭を預けていない場合、首の骨の間隔が狭まって過剰な反りが強いられます。
この時に姿勢を固める緊張が入ります。
衝撃の第2波が起きる
姿勢を固めた緊張があっても、頭の重さを保持できずに頭が身体から引き伸ばされます。
そして頚椎の間が広がって、過剰な曲げが強いられます。
この時あらゆる組織が引きはがされて様々な損傷が起きてしまいます。
頭である頭蓋骨は、7つの頸椎とその椎骨(首の骨)を支える軟部組織(靭帯・関節包・椎間板・筋肉など)の上に位置しています。
頭の重さは体重の約10%と言われており、その重さは5~6kgに及ぶと考えられています。
重さもさることながら、頭を支える頸椎との大きさの比率もかなりの差があります。
このアンバランスさがむち打ちの発生を防ぎきれない理由であると考えられています。
むち打ちの状態
むち打ちは「外傷性頸部しょう候群」と呼ばれ、医学的な仮説はあるものの、
衝撃の入り方によってどの組織をそのくらいの程度痛めたのかを知るためには精密な検査が必要です。
事故状況によって痛みや状態は変化し、典型的なパターンと言うものは存在しないと考えています。
しかしむち打ちの種類はいくつかに分かれていると考えられており
(次の項にて解説いたします)
その複合を考慮に入れながら施術プランを適時練り直していくことが必要となります。
精密検査とは、整形外科で行うレントゲン・CTスキャン・MRIなどを示します。
事故後に最初にかかった整形外科で検査してもらうことが望ましいですが、設備が少ない整形外科であった場合には他に通いなおす事も考慮に入れて下さい。
むち打ちの種類
頚椎捻挫型
頭と頸椎を支える筋肉、靭帯を含む軟部組織の損傷を受けたケース。
むち打ち後の痛み、違和感をはじめとした様々なお辛さが出ます。
神経根型
脊髄から出る神経の根源部分である神経根の損傷を受けたケース。
首や肩の痛みに加えて、手足のしびれや痛みが引き起きることもあります。
脊髄型
脊髄が実質的に損傷を受けたケース。
痛みやしびれなどに加えて運動がしにくくなります。
排便・排尿障害が起きることもあります。
バレ・リュー型
脊髄や神経・脳に障害を受けたケース。
自律神経の乱れや失調によって様々なお辛さが出てしまいます。
例を挙げますと、まさに様々な状態異常を引き起こします。
内耳の乱れによる
【気象びょう】の様な状態異常を引き起こすこともあります。
気圧の変化で出る(めまい・ふらつき)などが特徴です。
疲労の増加ででる
【易疲労型の頭痛や眼精疲労】はご本人が思われる
(疲れた状態)よりも早く、
身体のストレスに対する耐久性が音を上げてしまって
文字通りの頭痛や眼精疲労が出てしまう状態です。
ささいな変化に身体が順応できない事が
このバレ・リュー型の特徴です。
脳脊髄液減少型
脊髄を包む硬膜から脳脊髄液が漏出するケース。
長期に渡る頭痛・頸部痛・めまいや集中力低下などが続く難しい状態です。
大学びょういんなどの特定機関での処置が必要になります。
むち打ちの種類は複合することもありますし、むち打ちの型がわかっても1人1人に合わせた痛みへのアプローチは千差万別です。
臨機応変なケア方法の選択が必要になります。
むち打ち時の頭痛について
むち打ちについて触れてきましたが、
首や肩の直接的な痛みや違和感が
事故後のお悩みとして最も顕著であることは間違いありません。
しかし先の項でもお伝えしましたが、むち打ちには複合型が多く含めれます。
この項では「頭痛」についてお伝えしていきます。
頭痛のメカニズム
頭痛には様々な要因があります。
交通事故によるむち打ちもその要因のひとつですが、検査と施術をすすめていくことを必要とします。
ここでは頭痛を誘発させてしまう
いくつかの要素をお伝えします。
要素①血流が安定しない
頭や顔、脳全般を満たすための栄養血管は
頸椎(首の骨)の中や、肩から首にいたる様々な道筋を持っています。
流れが滞ることはもちろんですが、
急な血液量の増加も、状態が不安定になることで
頭痛を招くことがあります。
循環は、安定した流れの一定化が大切なのです。
要素②痛みを誘発させる物質の存在
神経の中を流れる血液の中には
様々な【神経伝達物質】があります。
プロスタグランジンやブラジキニンといった
痛みを脳に認識させる物質です。
ムチウチ後の首まわりの血管や神経は傷つき、
損傷した組織から漏れ出し、
それらの物質が血管や神経の中を通って脳に運ばれることで
頭痛を発生させてしまう事があると考えられています。
施術による頭痛の回復過程
様々なケースの頭痛に対して行う施術には
頭痛の種類によってパターンが想定できます。
この項では、3つのタイプを例に挙げて
ご説明をいたします。
緊張型頭痛
頭の後ろ側が、重く…のしかかる様な痛みの頭痛です。
後頭部に至る【血流が足りない】事によって引き起こされます。
背中や肩から、後頭部にいたる【僧帽筋~帽状腱膜】への過剰な緊張を
緩和させていく事が必要です。
肩甲骨の動く範囲を広げていく事が
背中や肩、後頭部にかけての血液供給量を確保することになります。
施術で筋肉の緊張を解きほぐし、
生活指導で、睡眠の質をよくするなどの施策も同時に行います。
2~3ヶ月の交通事故施術を要しますが、
リハビリ期間中の指導内容を行う事で
わずかに残った頭痛があった方も、順調に回復されていきます。
片頭痛(三叉神経頭痛)
いわゆる、こめかみが痛くなるタイプの頭痛です。
血液の滞りから一転して、急な血流の増加によって
こめかみにいたる【浅側頭動脈】の血管が広がる事で、
血管の下にある神経に刺激が入ると
こめかみに至る頭痛が発生します。
この片頭痛は先の項で紹介した、
緊張型頭痛頭痛と同時に存在することも多く、注意が必要です。
●こめかみの緊張を解きほぐして、血管が狭くなるのを防ぐ。
〇後頭部にいたる緊張を出さないような、軽い運動も行う。
(※●〇の相互のバランスを考えながら施術を進めていきます)
3~4ヶ月、しっかりとしたリハビリ期間を持っていただく事で
経過は安定してきます。
交通事故の施術・リハビリ期間を超えても、
日常生活に首や肩への負担をかけないように、
いくつかの指導内容を実践していただく事も、再発予防に必要です。
まとめ
今回の
ムチウチと頭痛に関してのコラムはいかがでしたでしょうか。
月の輪接骨院をはじめとしました、
接骨院は、整形外科とも併用で通っていただく事ができる
【交通事故での自賠責保険】対応のリハビリ施設です。
あなたや、あなたの大切な方々の
健康を守ることが、私たちの存在価値と考えております。
たとえ事故後に「状態の異常を感じられない」
あるいは「そんなに大したことはないから」
…といった、特にリハビリを必要としない考えの方も、いらっしゃるかもしれません。
しかし、今はもちろんですが
私たちが守るものは、今はもちろんですが、
10年~20年後の【あなたの未来】だと思っています。
本気であなたや、大切な方を思う
【交通事故での状態回復に詳しい専門家】にご相談ください。